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選択肢を選んで1000レス目でED 2

1 :名無しって呼んでいいか?:2007/05/20(日) 18:41:45 ID:???
・リレー形式で話を作れ
・話の最後には選択肢をつけること
・選択肢は1つのみ選ぶこと(複数選択不可)
・次に進める人は選択肢を選んだ後それにあった話を作り、1000レス目でED
・途中にキャラ追加、話まとめなどO.K.
・話を続けるときは名前欄に通し番号を入れること
・今回はトゥルーEDを目指すこと。主要人物の死亡(モブはOK)、誰かとくっつけるのは無し
・450KBを超えたら気づいた人が注意を促すこと
・新規で書き込みする方はwikiを一読すること

▼前スレ
選択肢を選んで1000スレ目でエンディング
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/ggirl/1140272497/

▼まとめwiki 
ttp://www22.atwiki.jp/1000ed/

<<現在までの登場人物>>
大堂愛菜:高校二年の主人公 。予知夢を見る(但し起きると内容は忘れている)
大堂春樹:愛菜の義理の弟(高1)。好きな人がいるらしい。
愛菜よりしっかりものなので兄にみられがち。
湯野宮隆:愛菜の幼馴染。ファントム(ミスト)を操る能力がある(事故後能力発祥)。
      モノに宿る八百万の神に働きかける能力もある(先天的能力)。
武     :隆の裏人格(クローン)。ファントム(ミスト)を隆とは別に操ることができる。
      存在を組織に知られていないが、組織の命令には逆らえないらしい。
宗像一郎:放送委員の委員長。水野を利用している。「見える力」がある
宗像修二:一郎の双子の弟でテニス部エース。一郎と同じく「見える力」をもっている。
       他人を見下しているところがあり不誠実とおもわれているが、愛菜にはなぜか協力的。
近藤先生:厳格だが生徒思いの男性教師。春樹の担任。
水野先生:隆とキスしていた音楽教師。組織の一員?
長谷川香織:愛菜の親友。
御門冬馬:感情表現に乏しい。言葉遣いは丁寧。愛奈の従者(?)。
高村周防:高村研究所の反主流に属するもの。明るいお兄さん的存在。
チハル  :愛奈が隆からもらった熊のぬいぐるみ。隆の力で動くようになる。
大堂志穂:愛菜の実の母。冬馬の名付け親。
こよみ  :冬馬と同じ研究所にいた髪の長い少女らしい。
組織のNO.1:高村研究所のトップ。現在は性別年齢すべて不詳。


その他関連事項は>>2-3あたり


264 :597:2007/11/07(水) 17:19:15 ID:???
@このまま春樹と話をする

「あいつって……春樹の父親の事だよね?」

春樹はコクリと頷いた。

「父親だと思いたくもないんだけどね。本当に、最低な人だよ。
でも……それをあいつに言ったら、きっとお前が不甲斐ないからだって一蹴されてしまうだろうね」

「どうして春樹が不甲斐ないなんて言うの?自分の子供なのに……」

会ったことも無い人だけど、悔しさがこみ上げてくる。
過去の出来事だとはいえ、私の大切な家族に暴力を振るっていた人はやっぱり許せない。

「ようやく分かったけれど……俺に力が無いって事が許せなかったんだと思う。
あの人はいつも母さんを痛めつけながら『どうして無能の子を産んでくれたんだ。高村の恥さらしめ』って怒鳴りつけていたからね。
俺は自分がどうして無能の子だと言われるのか、ずっと分からなかった。
母さんが暴力を振るわれないように、必死で勉強もしたし、どんな事でも誰にも負けないようにしたんだ。
だけど……」

春樹は言葉を切って、唇をかみ締めている。

「お継母さんへの暴力は収まらなかったんだね」

「それどころか、段々酷くなっていった。俺を見る目もまるで羽虫でも見るように、いつも冷ややかだった。
とうとう耐え切れなくなった母さんは俺を連れて、逃げるように高村家を飛び出したんだ」

「そうだったんだ……」

「生まれてからずっと、俺はあの人が怖かった。逃げ出したとき、正直、会わなくて済むとホッとしたよ。
そして、姉さんや継父さんに会って、ようやく本当の幸せを手に入れたと思った。
どんな事をしても、絶対に守り通すと誓ったんだ」

私の背後に建つ我が家を、春樹は慈しむように仰ぎ見ていた。
出会った頃の春樹は人を寄せ付けない雰囲気があった。
私を守ると約束してくれた裏には、春樹の悲壮な思いがあったんだ。

「だけど、ショッピングモールで姉さんが寝ている時……冬馬先輩から高村の研究所について教えられたんだ。
もう決して関わりたくない父の事も。その時、ようやく悟ったよ。俺に力が無い為に、母さんが傷ついていた事をね」

春樹は悲しそうな瞳を私に向けながら、話を続けた。

「話を聞き終えて、怖くなった。あの人とまた会うくらいなら、逃げたした方がいいと思った。無能な俺よりも、力のある人達が姉さんを守るべきだと思った。
だけど、それじゃ姉さんとの約束を守ったことにはならない。俺はずっと平常を装いながら、考えていた。俺にしか出来ない姉さんを守る方法を。
考えすぎて、あんまり眠れない時もあったけどね」

春樹は口の端を上げ、少しだけ笑った。
(『もうこれ以上の厄介事は、ご免なんだ!』と公園で言った事は…父親に対する恐怖心があったからなのね)

どう言おうか?
@「私を守る方法が……研究所へ行くことだったの?」
A「ごめんね、春樹」
B「辛かったら、相談くらいしてよ! 姉弟じゃない」

265 :598:2007/11/08(木) 13:32:38 ID:???
A「ごめんね、春樹」

思わず口をついて出たのは、謝罪の言葉だった。

「どうして姉さんが謝るのさ。姉さんは何も悪くないだろう。
これは、俺自身のけじめでもあるんだから……」

春樹は色々な感情の入り混じった視線で、私を見つめる。
私は耐え切れなくなって、その視線を外すように下を向いた。

「春樹がそんなに苦しんでいるのに、ぜんぜん分かってあげられてなかったんだよ。
私、春樹の気持も考えずに頼ってばかりだったもの」

春樹を追い詰めてしまった一端は私にある。
今、思い返せば春樹の苦しみを理解してあげるチャンスはいくらでもあったはずだ。

「……困ったな。夢の中だと思って、少しおしゃべりが過ぎたのかもしれないね。
ホント、夢の姉さんまで悩ませるつもりなんてなかったんだ」

キィと軋んだ金属の音が聞こえる。きっと、春樹が門を開けたんだろう。
不意に、右肩に暖かな手が置かれた。
顔を上げると、すぐ傍らに春樹が立っている。

「姉さん、俺はね」
「どうしたの? 春樹」
「俺はね……」

黙り込んだままの春樹を、そっと覗き見る。
春樹の表情は硬く、肩に載せたれた手が小さく震えていた。

「俺は……」

(どうしたんだろう? 春樹)

「ねぇ、姉さん。……ある昔話をしていいかな?」
手の震えが収まった春樹はいつもの調子で私に話しかけてきた。

「いいよ。どんな話?」
「昔、ある男が居て…どうしても手に入れたい物があったんだ」
「うん」
「だけどね、その物を男が手にすると、男の周りにあるすべての大切な物が壊れてしまうかもしれないという代物だったんだ。
その男の周りにある物っていうのはね、男がコツコツと血の滲むような思いで集めてきたそれは大切な物だったんだ」
「うん」
「更にね、すべてを犠牲にしてまで欲しかった物自体、男のものになるとは限らないと分かっているんだ」
「その男の人が何もかもを失うリスクがあるのね」

「そうなんだ。でも、その男はすべて失ってもいいと思えるほど、手に入れたい物は魅力的で、大切で、かけがえの無いものなんだよ。
そして今、その男はかけがえの無い物を手に入れるか否かの最後の選択を迫られていたとする。
姉さんだったら、その男にどう助言をする?」

私は…
@「手に入れた方がいい」
A「手に入れない方がいい」
B「わからない」

266 :599:2007/11/08(木) 14:46:31 ID:bm6HtpSu
B「わからない」

私は少し悩んで答えた。

「その手に入れたい大切なものは男の人のものになるとは限らないんでしょ?」
「うん」
「男の人が手に入れる決断をして手に入れようとしたとして、自分のものにならなかった場合、その大切なものはどうなるの?壊れちゃうの?」
「……」
何も答えない春樹に、私は言葉を続ける。

「その辺がどうなるかによって、助言はかわるかな?」
「もし壊れるものだったら?」
「壊れるものだったら、手に入れない方をすすめるよ。
 すごく大切なものが、手に入らない上に壊れたら男の人だってすごく悲しくなるし、自分のせいで壊れてしまったって自分を責め続けることになるかもしれないじゃない」
「じゃ、壊れないものだったら?」
「それなら手に入れる努力はするべきじゃないかな?
 もし自分のものにならなくても、その大切なものは壊れないで他の誰かが大切にしてくれるかもしれない。
 自分のものにならないって悲しみはあると思うけど、努力はしたんだからあきらめもつくんじゃないかな?」
「夢なのに……姉さんはやっぱり姉さんなんだね」
どこか泣きそうな顔の春樹に私は続けた。

「でもさ、きっとその男の人は私がどんな助言をしても手に入れようとすると思うよ」
「え?」
春樹が驚いたように私を見る。

「だって手に入る希望があるんでしょ?
 最後の選択っていうことは、今までは手に入れるための努力をしてきてるってことじゃないの?」
「……」
黙りこんだ春樹から私は視線を外して、空を見上げる。
どんよりと曇った空が春樹の心情を表しているみたいだ。

「それってさ、手に入れるって最初から決めてたって事じゃないのかな?
 私はその男の人じゃないから分からないけどね」
そういって視線を春樹に戻すと、春樹が肩を震わせている。
どうやら笑っているようだ。さっきまでの雰囲気がすっかり消えている。
心なしか、雲も薄れてきたようだ。

@「どうしたの?」
A「私、何か変なこと言った?」
B「元気になった?」

267 :600:2007/11/08(木) 21:57:10 ID:???
A「私、何か変なこと言った?」

一生懸命考えて答えたのに、春樹に笑われてしまい、少々ガッカリしてしまった。

「ごめんごめん。……姉さんには敵わないと思っただけだよ。
そうだよね、その男の答えは最初から決まっていたじゃないか……」

笑いながら、晴れやかになっていく春樹の顔を見て、ホッと安心する。

「姉さん、ありがとう。
普段はボンヤリしていて頼りないけど、ここぞという時には必ず俺の欲しい答えを教えてくれるよね」

(ボンヤリって……ひどいなぁ。頼りないのは認めるけど)
褒められるのは嬉しいけれど、一言が余計で素直に喜べない。
春樹に文句を言おうとして、ようやく身動きが取れないことに気付く。
肩に載せられた春樹の手に力が篭っていたからだ。

春樹はそんな私を真っ直ぐ見つめたまま、ゆっくり口を開いた。

「……そんな姉さんだからこそ、好きになってしまったんだろうな」

「え!?」

心臓が大きく跳ねる。
体がカッと熱くなった。
反射的に、身を引くように春樹との距離を置く。

「わ、わ、私も……春樹のことが好きだよ。たった一人の弟だもんね」

声が上ずって、早口なってしまう。
私一人が酷く動揺してしまって、恥ずかしいことこの上ない。
春樹は手持ち無沙汰になってしまった手のひらを見つめると、少し困った顔をした後、優しく微笑んだ。

「……昔話に出てきた男が前途多難だということはよくわかったよ。
それに、夢でこんなに緊張するのなら、現実ではまだまだって事だよな……」

「? さっきの昔話の続き?」

私は春樹との距離を保ったまま尋ねる。
春樹はクスッと笑い、「内緒だよ」と呟いた。

私は
@「……春樹の話してくれた昔話、男の人が幸せになる結末だったらいいな」
A「ところで、さっき油断させることができるって言っていたけど……」
B「ところで、体は大丈夫なの?」

268 :601:2007/11/09(金) 11:22:41 ID:???
@「……春樹の話してくれた昔話、男の人が幸せになる結末だったらいいな」

「そう思う?」
「うん、今までの努力が報われるといいなって思う」
「……うん」
春樹に向かって笑いかけたとき、ふと身体が引っ張られるような感覚がした。
遠くで名前を呼ばれている感じがする。

(あ、そろそろ起きる時間かな)
「姉さん?」
「春樹、そろそろ起きる時間だよ。いい? くれぐれも無茶しないでね?」
「わかってるよ。まったく……なんで夢でまでなんでこんなに………」
春樹の呟きが徐々に遠くなり、ふっと景色が変わる。
どこまでも続く草原。

(あれ?)
相変わらず遠くでは私を呼ぶ声が聞こえているが、どういうわけかその方向へ向かおうとしても何かに邪魔をされているような、妙な抵抗感がある。
廻りを見渡しても見えるものは何も無く、見たことのない場所だった。

「ここ、どこ?」
「初めまして、大堂愛菜さん」
思わず呟いた瞬間、背後から話しかけられた。
振り向くと先ほどまで誰も居なかったはずの場所に男の人が立っている。

「だれ?」
記憶を探るが今まで会ったことは無いはずだ。
年のころは二十歳前後だろうか。

「とりあえずそれはどうでもいいことだと思うね」
「え?」
「本来の姿ではないからね」
「?」
どこか人をからかうような物言いに、ふと最初に会ったころの周防さんが重なる。

えっと……
@「ふざけないでください」
A「私になにか用ですか?」
B「……」

269 :602:2007/11/09(金) 18:21:26 ID:???
A「私になにか用ですか?」

私は警戒しながら、その男の人に話しかけた。

「彼の意識に飛んでみたら偶然鉢合わせしただけだよ。
君との会話が有益とも思えないが……まあ、いいだろう」

「………」
やはり少し周防さんと似ているようだ。
でも、眼鏡のせいか、繊細で神経質そうにも見える。
穏やかな薄い笑みの裏に、何か隠している気がする。

(この感じ……誰かに似ているけど……)

『お前らなんか必要ない!』
そう叫んで、突き刺す様な恨みの篭った視線がフッと脳裏によぎった。
(春樹だ……昔の春樹にも似ているんだ)

「大堂愛菜さん。君は今、幸せかい?」

唐突に尋ねられ、答えに窮していると、その男の人は可笑しくもなさそうに笑った。

「そうだよね。急には答えられるはずが無い。
大堂愛菜さん。私の考えではね、世の中に本当に幸せな人なんて居ないと思うのだよ」

「ど、どうして……そう思うんですか?」

「それはね、人はどこまでも欲深いからだよ。
愛されたい、金が欲しい、権力が欲しい……満たされても、それは一時的なものだ。
もっと欲しいと必ず不満を漏らす。では、大堂愛菜さん。なぜ人の欲が尽きないのかわかるかい?」

「……わかりません」

「それはね、人の心が貧しく空っぽだからだよ。一時的に満たされても、どこか空虚……君自身にも覚えがあるだろう?
では、大堂愛菜さん。なぜ人の心が貧しく空なのかわかるかい?」

「………わかりません」

「それはね、人があまりに愚かだからだ。驕り、妬み、欠点ばかりに意識が奪われてしまうからだよ。
では、大堂愛菜さん。なぜ人が愚かなのかわかるかい?」

まるで謎かけのように、数珠つなぎに質問を投げかけてくる。
私は明確な回答を一つも答えられないでいた。

「残念だよ、大堂愛菜さん。もう少し、聡明な娘かと思っていたんだがね。
おや? その手に握っている物は……サンストーンか?」

私はゆっくり手を開いて、石を確認する。
いつの間にか周防さんに渡すはずのサンストーンが握られていたようだ。
(どうしてこんな物が……)

「これは失礼した。かりそめの魂とはいえ、やはりあなたはすべてを見通しているということか。
本来の姿では無いただの器だと軽視していたが、話の分かる方のようだ」

男の人の態度がガラリと変化した。
私は呆気にとられたまま、石を見つめる。

@男の人に話しかける
A黙っている
B夢から醒めるように願う

270 :603:2007/11/10(土) 06:54:11 ID:???
@男の人に話しかける

分からない事だらけだけれど少し時間がたつと落ち着いてきた。
男の人に特に敵意を感じないことにとりあえず安心したのもある。
私は手に持っているサンストーンから男の人に視線を移して口を開いた。

「あなたは……いつもそんなことを考えているんですか?」
なぜサンストーンがいま手の中にあるのか、この人は誰なのか気になることは他にもあるけれど、私の頭の中を占めているのはこの一つだった。

「おや、この状況では少し予想外の質問だ」
男の人は私の質問には答えず少し楽しそうに口元に笑みを浮かべる。
なんとなく予想していたので、気にせずに口を開く。

「それはあなたが幸せじゃないからですか?」
「そうかもしれないね」
私の言葉に動じることもなく、男の人はあいまいに答える。

「あなたがどこまでも欲深い人間だから?」
「なるほど、そう来るのか。
 ……おや、あなたともう少し話をしたいところだが邪魔が入りそうだ。」
男の人がそういうと、ガラスにヒビが入るときのような音が響く。

「な、なに!?」
「では、私は帰るとしようか。 またいずれ」
私が辺りを見回している間に、男がそういった。
視線を男に戻したときにはすでにそこに男の姿はなく……。

「きゃっ」
突然風景がかわり体が落下する。
とっさに目を閉じて、この次に来るであろう衝撃にそなえる。
けれど突然何かに包まれたかと思うと、落下が止まった。

恐る恐る目を開くとそこには……
@周防さん
A冬馬先輩
B一郎君と修二君

271 :604:2007/11/10(土) 09:51:30 ID:???
A冬馬先輩

「………大丈夫ですか?」

いつも通りの淡々とした口調で冬馬先輩が尋ねてきた。
きっと、危険を感じて来てくれたのだろう。

「あ、うん。ありがとうございます」

そういい終えて、冬馬先輩に抱きかかえられていることに気付いた。
私自身、落下が怖かったのか先輩の首周りにしっかり抱きついている。

「本当に…大丈夫ですか?」

覗き込むようにして、冬馬先輩は更に顔を寄せてきた。
間近に端整な顔が迫ってくる。

(ち、近いよ! 冬馬先輩)

私は助けてもらって「離して」とも言えず、絡ませた腕をパッと放した。

「冬馬先輩、もう大丈夫なんだよね?」
「大丈夫とは言い切れません」
「どういう事?」

顔にこそ出さないけれど、好ましい状況ではないらしい。

冬馬先輩が辺りを見渡して、警戒の色を強める。
私もつられてあたりを見回してみた。

辺りは霧に包まれたように霞んでいて、周りを見渡してもぼんやりとした影を
うっすらと確認できる程度だ。

「おいおい……アイツから大切な器だと聞いて楽しみにしていたのに、青臭い普通の女じゃねぇか!
どんな美人かと思っていたが、ガッカリだぜ」

霧の向こうから、体つきのいい短髪の男性が現れた。
無骨で気さくそうな人のようだが、冬馬先輩は警戒を解こうとしない。

私は……
@黙って様子を見守る
A男性に話しかける
B冬馬先輩に話しかける

272 :605:2007/11/10(土) 23:36:43 ID:???
B冬馬先輩に話しかける

「冬馬先輩。あの人は……だれ?」
慎重に私を下ろす冬馬先輩に向って、話しかけた。

「わかりません。ですが、あの男……臨戦態勢に入っています。
あなたは僕の後ろを決して離れないでください」

そう言って、冬馬先輩は片手で私を庇うようにしながら一歩前に出た。

目の前の男性は不機嫌そうにボリボリと頭を掻きながら、私達をジロリと睨みつける。

「おい! そこの小娘」
「…………」
「お前だよ、そこの背に隠れてるお前! ここに女なんてお前以外に居ないだろ!」
指をさされて、ようやく私が呼ばれていることに気付く。

「はっ、はい!」
威勢よく呼ばれて、思わず大きな返事をしてしまった。

「俺が女子供に手を出すほど、外道に見えるか!?」

「い、いいえ!」
怒鳴るように尋ねられ、ブンブンと首を大きく振って否定する。

「怪我したくなけりゃ、どいてな。待っててやるからよ」
「いいんですか?」
「当たり前だ。とっとと行け」

(どうしよう。言うとおりにしていいのかな)
動いていいものか迷い、冬馬先輩に目で問いかける。

「行ってください。結界を張るには時間が足りません。他に気配を感じないし、罠とは考えにくいです。
僕の後ろ側、距離を取って隠れていてください。
なるべく体勢を低くすることを忘れないで」

男性を見つめたまま、冬馬先輩は小声で私に指示をした。

どうしようかな?
@距離を取って隠れる
A男性に話しかける
B冬馬先輩に話しかける

273 :606:2007/11/11(日) 15:56:09 ID:???
B冬馬先輩に話しかける

「でも…先輩。これは夢なんですよね?」

(夢だったら、怖がることないよ)

「確かに夢です。あなたの体はベッドで休んでいると思います」
「じゃあ……」

私と冬馬先輩の会話を黙って聞いていた男性が、フンと鼻で笑った。

「どこまでもメデタイ小娘だな。
いいか? ここで怪我すりゃ、肉体の方もただじゃすまねぇんだよ。
この夢は普通じゃねぇんだ」

「どういうこと?」

男性の言っていることが分からず、冬馬先輩を見る。

「ここは精神世界と呼ばれています。別次元の現実と思ってもらったら早いかもしれません。
あなたが以前、周防と迷い込んだ場所でもあります」

(見たことあると思ったら…)

「あの時、周防さんは私が願えば反映されるって言ってたよ。私の言霊で、争わずに済むかもしれない」
「それは無駄でしょう」
「どうして!?」
「ここが春樹さんの精神世界だからです」

(春樹の?)

「でも、春樹が居ないよ」
「精神世界は広大で、現実のそれと変わりありません。ですから、春樹さんは別の場所に居るのでしょう」

「そういうこった。納得してもらえたんなら、大人しく下がっていた方が身のためだぜ」
男性はニヤリと笑うと、構えをとる。
「行くぜ673!! 派手にやろうや」

その声を聞き、冬馬先輩は私を庇いながら更に一歩前に出た。

私は……
@距離を取って隠れる
A考える
Bなるべく遠くに逃げる

274 :607:2007/11/12(月) 11:58:13 ID:???
A考える

(春樹は居ないけれど春樹の精神世界……)
ふと、嫌な考えが浮かぶ。
私はあわてて二人の間に割って入った。

「ちょ、ちょっとまって!!!」
「なんだよいい加減じゃますんじゃねー」
「だめ!ここは春樹の精神世界なんでしょ!?そんな所で争って春樹に何かあったらどうるすのよ!」
「そんなこたぁ、俺には関係ねぇな」
「私にはあるのよ!だからここで争っちゃだめ!」
「ごちゃごちゃうるせーな、どけこら」
ぶんと、男が手を振ると男を中心に風が吹き荒れた。
ただの牽制だと分かるが、思わず悲鳴を上げてしまう。

「きゃっ」
顔の前で手を交差して、くるであろう風に備えるが一向に風は襲ってこない。
おそるおそる目を開くと、私の周りだけ円を描いたように草はピクリとも動いていなかった。

「な、なに? ……もしかして、冬馬先輩?」
後を振り返るが、冬馬先輩は風に煽られ片腕で目をかばうように立っている。

「なんだぁ?」
男も不思議そうに私を見た。
風はすぐに止み、冬馬先輩がどこか遠くを見るように視線をさまよわせ、呟いた。

「ここは、精神世界。この世界の主があなたを守っているんです」
「じゃあ、春樹が私を……?」
「おそらく」
春樹は私を守るといった約束を、ここでもちゃんと実行してくれているのだ。

「かなり強力な護りです。あなたはこの世界に居る限り安全でしょう」
「そうなの……? それじゃあ」
私はそういって、冬馬先輩のすぐ前に立つ。

「こうしていれば、冬馬先輩には手出しできないわよね?」
「……ったく」
男は小さく舌打ちをして、大げさに肩をすくめて見せた。

「なるほど……どうやら器は器ってことだな。本当に伝承通りでいやになるぜ」
「え?」
「アイツの言ったとおりになるのは癪だが仕方ねぇ」
男はそう言って、無造作に近づいてくる。
冬馬先輩が私の腕を引っ張り背中に隠すように立つ。

「なにもしやしねぇよ」
そう言って男は冬馬先輩の後に隠れるようにして立つ私を、上から覗き込むようにして見下ろす。

「俺はナンバー535だ。外では熊谷裕也って呼ばれてる。小娘、覚えとけよ」
そう言って笑う顔はさっきまで臨戦態勢に入っていた人とは思えないほどさわやかだ。

なんて返そう?
@「熊谷……さん?」
A「大堂愛菜です。覚えておいてください」
B「……」

275 :608:2007/11/12(月) 15:45:28 ID:???
A「大堂愛菜です。覚えておいてください」

「それに……小娘なんて名前じゃありませんから、私」
と付け加える。

生意気を言って、怒鳴られるだろうと覚悟していたのに、一向にその気配もない。
それどころか、熊谷さんの表情がさらに崩れた笑顔に変わっていく。

「ハハハッ…おもしれぇ。さっきは割って入ってくるし、お前、見た目より気が強いとみえるな。
気に入ったぜ、小娘」

「小娘じゃなく、大堂愛菜です…。それにこの人は、673じゃなくて御門冬馬って立派な名前があるんですから。
ね? 先輩」

「…………はい」

冬馬先輩はゆっくりと頷く。
そして、制服の胸ポケットを漁り、生徒手帳を取り出す。

「どうぞ」

「へぇ、本当だな……御門冬馬…3年2組か。ほらよ、返すぜ」

手渡された生徒手帳を黙って受け取り、冬馬先輩は黙ったまま胸ポケットに納めた。
クラス替えの後、初めて自己紹介をし合うような、少々照れくさい空気になっている。

「お前が大堂愛菜、こいつが御門冬馬、か。よし、憶えたぜ。
……って、どーして、 敵と和んでんだよ! 俺!! お前らも、なんとか言え!」

(ボケに乗っておいて、ツッコミに転じる……良いノリツッコミだ)

妙に感心していると、突然、グラリと世界が歪んだ。
地面が揺れ、立っていられなくなる。

「ど、どうしたの?」
「春樹さんの目覚めのようです」
「いいか! 今回は見逃してやったが、次は容赦しないからなー!!」

どこかで耳にしたような捨て台詞を聞いた後、眩い光に包まれる。
自分の意識が浮上するのを感じた。

(熊谷さん……悪い人には見えなかったな。
それよりも、気になるのは、あの眼鏡の人。
一体、誰なんだろう)

目覚めるとそこには……
@チハル
A隆
Bお継母さん

276 :609:2007/11/13(火) 11:47:10 ID:???
@チハル

「愛菜ちゃん?」
心配顔のチハルが私を覗き込んでいた。

「チハル? おはよう」
「大丈夫? よんでも起きないし、むかえに行こうと思ったのになんかに邪魔されるし、すごく心配したんだよ」
「大丈夫だよ。春樹の所に行ってたの」
「春樹?」
春樹の名前を出した途端、チハルの顔が曇る。
昨日、春樹を守れなかったことをチハルは気にしているのだ。

「うん、春樹元気そうだったよ。大丈夫」
「ほんとう?」
「うん、春樹は春樹がやりたいことのために自分で行ったんだって。
 だからチハルが気にすることは無いよ」
「うん……」
まだ、少し元気の無いチハルの頭を撫でて時計を見る。

「え!? うそっ」
思わず目をこすり、もう一度時計を見直す。
いつも起きる時間を20分も過ぎている。
ベッドから飛び降り、慌てて着替えて部屋を飛び出す。
洗面所へ直行し顔をあらってキッチンへ顔をだし、首を傾げる。

「あれ?」
お義母さんも隆も居なかった。
そういえばこの時間まで起こしにこないのもおかしい。
私はもう一度二階へ上がり、お義母さんの部屋を覗いた。

「居ない?」
(今日は早く仕事にいく日だったっけ?)
でも、春樹のこともあるし何も言わずに出て行くとは考えにくい。
今度は隆が使っている客間を覗く。

「あ……」
隆はまだ眠っているようだ。

とりあえず……
@チハルにお義母さんがもう出て行ったか聞く
A隆をたたき起こす
B朝食を準備する

277 :610:2007/11/13(火) 23:50:48 ID:???
@チハルにお義母さんがもう出て行ったか聞く

「お義母さんがもう出て行ったのか知ってる?」
慌しく用意する私の後ろを、ずっとついて来ているチハルに話しかけた。

「うん。とっても朝早く出て行ったよ」
「仕事かな……」

仕事だったらいいけれど、春樹を探しに行ったとなれば心配だ。
(携帯で連絡とってみようかな…)

「ねぇ、愛菜ちゃん」
考え込んでいる私の袖を、チハルが引っ張った。
「どうしたの?」
「これ、なんて書いてあるか教えて」
「その紙……お義母さんの字だ」
「居間のテーブルに置いてあったから、愛菜ちゃんに読んでもらおうと思って持ってたんだ。
お手紙だよね」

チハルから手紙を受け取り、目を通していく。

「ねぇ、愛菜ちゃん。なんて書いてあったの?」
「えーっとね。やっぱり、お義母さんは朝早くからお仕事に行ったみたい。帰りも遅くなりますって。
それと、元気だから心配しないでって書いてあるよ」
「ボク、昨日からママさんの事が大丈夫かなって思ってたけど、元気なんだね。よかったー」

チハルは胸を撫で下ろすように、フーッと息を吐いて笑った。

本当はもう一つ、チハルには言わなかったけれど、血の繋がった父親のところに行きたいと言う息子を止める権利までは
無いと思い至った事。最後に、私と父にまで迷惑をかけてしまった事への謝罪が添えられていた。

(お義母さん……)

いろいろ考えたいことはあったけれど、今は時間が無い。
とりあえず、急がなくては。

どうしよう?
@隆をたたき起こす
A朝食を準備する
Bやっぱり止めて、学校を休む

278 :611:2007/11/14(水) 13:29:19 ID:???
@隆をたたき起こす

「隆! 起きて遅刻するよ!」
部屋には入らず大きな声で叫んでみるが、隆はうるさそうに寝返りを打って向こうを向いてしまった。
起きる様子は無い。
隆の寝起きは良いほうだから、これで起きないのは珍しい。

「まったく……」
私はため息をついて隆の側まで歩いていって揺さぶる。

「隆、起きてってば!」
「……ん〜」
返事はするもののそれだけだ。
今度は軽く叩いてみる。

「返事だけじゃダメなんだって! 遅刻するって言ってる……わっ」
唐突に隆の手が伸びてきて私の手を掴んだ。
次の瞬間には力いっぱい引っ張られ、私はバランスを崩して隆の上に倒れ込む。
とっさに手をついて隆に全体重をかけてしまうのは阻止したが、多少衝撃があったはずなのに隆が目覚める様子は無い。

「愛菜ちゃん!」
「あー、チハル大丈夫……って、隆! 寝ぼけてないで起きろー!」
心配そうに駆け寄ってくるチハルに苦笑してみせる。
隆は倒れこんだ私を枕か何かと間違っているのか、しっかりと腕が巻きついて身動きが取れない。
じたばたともがいていると、チハルが隆の腕を外そうと隆の腕を引っ張り始めた。

「う〜〜〜」
顔を真っ赤にして引っ張っているが、子供の姿のチハルではびくともしない。

(隆って案外力が強いのね……)
妙な所で感心してから我に返る。

(あっ時間!)
「たーかーしーーーーー! おきろぉぉぉ」
もがきながら叫ぶが隆は目覚めない。

(なんでこんなに起きないのよ……、まさか組織が何か? 
 寝てるふりって訳じゃないわよね?)
少し心配になって隆の顔を覗き込む。

(ただ寝てるようにしか見えないけど……)

どうしよう?
@自力で起こす
Aチハルにどうにかしてもらう
Bこのままおとなしくしている

279 :612:2007/11/15(木) 01:52:54 ID:???
Aチハルにどうにかしてもらう

このままじゃ、遅刻確定だ。

(よーし、こうなったら……)

「チハル、ぬいぐるみに戻ってくれるかな」
「どうして?」
「起きない隆にお仕置きするの」
「うん、いいよー。えいっ」
チハルは軽い音を立ててぬいぐるみに戻った。

私は隆の顔の上にチハルを置く。
鼻と口を塞がれた隆は、もがき苦しみだした。

「んんんっ〜〜〜!!」

断末魔に近い呻きの後、隆はガバッと飛び起きた。

「きゃっ、びっくりしたぁ。やっと起きたね、遅刻するよ」

ようやく起きた隆に向って、私は言った。

「お前、俺を殺す気だっただろう」
「もしかして起きてた?」
「ちっ、ちがう。……少し寝ぼけてただけだ」
「どっちでもいいけど、早く用意してよ。間に合わなくなるよ」
そう言って、私はキッチンに向かった。

暫くして、身支度の終わった隆がキッチンにやってきた。
私は、真っ黒に焦げてしまったパンを渡す。
一瞬驚いていたけれど、昨日の約束どおり、隆は文句も言わずにそれを食べ出した。

「……しかしさっきは、危なかったな。違う意味で堕ちかけたぜ」
「二度寝するつもりだったの? ほんと、だらしないなぁ」
「お前のせいだよ!」

そんな他愛無い会話をしながら、手早く朝食を済ませた。
ぬいぐるみのチハルを鞄に入れると、家を出る。

ゆっくりしていると遅刻してしまいそうだ。

どうしようか?
@走る
A歩く
Bバスに乗る

280 :613:2007/11/15(木) 13:41:19 ID:???
@走る

「隆、走るよ!」
「おう!」
私と隆は並んで走り出す。
が、隆のほうが足が速く遅れ気味になってしまう。

「ほら、急げ」
隆が遅れ気味の私を振り返ると、私の手を引いて走り出した。

「ま、まってよ……は、早い」
「遅刻したいのか?」
(誰のせいだとおもってるの……)
文句を言いたい所だが、走っている上に息が切れて来たので、批難の視線を隆に向けた。
前を向いて走っている隆はそんな私の視線に気付いているのか居ないのか、腕時計を確認して小さく頷く。

「よし、間に合いそうだ。ほらがんばれ、もう少しだ」
「う、うん」
校門の前に近藤先生がたっているのが見える。
先生たちが持ち回りで遅刻する生徒を注意しているのだ。
時間を過ぎたら注意されることになる。

「おはようございます!」
「お、おはよう、ございます」
「おはよう」
ぎりぎりで遅刻にならなかった私たちに、近藤先生はあいさつを返してくる。

(あ、そういえば、春樹がしばらく休むって言わないと……)
「隆ちょっとまってて」
「ん?」
「先生!」
近藤先生のところへ戻り声を掛ける。

「ん?どうした?」
「あの、春樹なんですけど。しばらく学校を休みます」
「大堂くんが?なにかあったのか?」
先週末はボールを頭にぶつけてしまった事を思い出したのか、心配そうに近藤先生が尋ねてくる。

どうしよう……
@本当のことを言う
A嘘を言って乗り切る
B別の話題でごまかす

281 :名無しって呼んでいいか?:2007/11/16(金) 22:42:01 ID:???
450KBになったね
次スレ行く前に今後について話し合ったほうがいい?

282 :名無しって呼んでいいか?:2007/11/17(土) 16:52:48 ID:???
とりあえず前スレも残ってるし、こっちは書き込めなくなるギリギリまで続けて、話し合いは前スレの残りでやってもいいんじゃないかな?

283 :名無しって呼んでいいか?:2007/11/17(土) 22:22:57 ID:???
自分は282に賛成だな。

284 :614:2007/11/18(日) 22:21:28 ID:???
了解。このまま継続ね

A嘘を言って乗り切る

「えーっと…風邪なんです。熱があってしばらくお休みします」

うつむきながら、思いついたまま言った。

(やっぱり…嘘ってバレるよね)
そんな思いでチラリと近藤先生を見ると、なぜか納得したように頷いていた。

「そうか。以前の脳震盪とは関係ないんだな」
「はい。あれはすぐに病院に行って、大丈夫でしたから」
「……ところで君の方はもういいのか?」
なぜか近藤先生は私を心配するように言った。

「え?」
「昨日はずいぶん具合が悪そうだったからな。風邪だったのだろう?」
「あっ……。そ、そうなんです。私の風邪が弟にうつってしまったみたいで」
「体調管理はしっかりしないといけないな。大堂くんにはお大事にと伝えといてもらえるか」
「はい」

キーンコーン

ホームルームの予鈴が校内に鳴り響く。

「愛菜。早く行こうぜ」
隆が焦りながら、私を促した。

「そういう事で、先生よろしくお願いします」

(近藤先生が勘違いしてくれたお陰で助かったよ……)
私はペコリとお辞儀をすると隆と共に教室に急いだ。

――慌しく日中の授業が終わり、放課後になった。

机の中の教科書を鞄に詰めていると、ツンツンと背中をつつかれた。

「ねぇ、愛菜」
「どうしたの、香織ちゃん」
私は振り向いて、香織ちゃんを見る。
「今から予定ある?」
「香織ちゃん、文化祭の準備はいいの? プロデューサーだって張り切ってたじゃない」

鞄を持って、帰る気満々の香織ちゃんに向って言った。

「平気平気、もう当日を迎えるばっかりだもん。私のプロデュースに抜かりは無いのよ。
最近は全然遊べてなかったし、愛菜が暇なら、どっか寄っていこうよ」

どうしようかな?
@承諾する
A断る
B考える

285 :615:2007/11/19(月) 15:06:50 ID:???
B考える

唐突な誘いだけれど、こういうときの香織ちゃんの行動パターンは分かっている。

「どっかって言ってるけど行きたい所があるんじゃないの?」
「さすが愛菜、話が早いわ! 実はね、隣の駅前に新しい雑貨屋さんが出来たの。すごく評判良いんだから」
「へぇ?」
香織ちゃんのこういう情報にハズレは無い。
しかもこれだけ張り切っているということは、香織ちゃん自身は一度下見に行ったのだろう。

「愛菜もぜったに気にいって!」
「わかったわかった。でも、あんまり遅くなるわけにもいかない……」
「愛菜ちゃん!」
香織ちゃんと話をしていると、教室にひょっこりと修二くんが顔を覗かせた。
修二くんは私の顔を見つけると一瞬笑顔になり、その直後険しい顔に変わる。
クラスメイトの視線がそんな修二くんに集中している。
修二くんはその視線を気にする様子も無く、一直線にやってきた。

「どうしたの?」
いつもと違う様子に、私は首を傾げた。

「愛菜ちゃん、いつアイツに会ったんだ?」
「アイツ?」
「ナンバー535だよ」
「535って……熊谷さん?」
「熊谷……?外ではそう名乗ってるのかアイツは」
「でもどうして会った事がわかるの?」
私の言葉に、修二くんががっくりと肩を落とした。

「愛菜ちゃん……俺を誰だと思ってる? 忘れちゃったの?」
「もしかしてなんか見えてたり……?」
「愛菜……」
その時、いつの間にか修二君の後に冬馬先輩がたっていて私の名前を呼んだ。

「え!? 冬馬先輩?」
「げっ!」
それぞれの反応をする私と修二くんを気にした様子も無く、冬馬先輩はじっと私を見ている。
修二くんの存在は完全に黙殺しているのか一切感心を示さない。

「ちょっとちょっと、愛菜ってば一体どういうことぉ!? 修二くんは前からそうじゃないかなーとは思ってたけど、その先輩は誰!?」
香織ちゃんが小声ながら興奮気味に私に聞いてくる。
その間に、修二くんの機嫌が急降下していくのが目に見えて分かる。

えっと……
@香織ちゃんに冬馬先輩を紹介する
Aとりあえず場所を移す
B香織ちゃんと用事があるからと逃げる

286 :名無しって呼んでいいか?:2007/11/19(月) 15:09:50 ID:???
「愛菜もぜったに気にいって!」×
   ↓
「愛菜もぜったい気に入るって!」○

の間違です

287 :616:2007/11/19(月) 20:08:57 ID:???
B香織ちゃんと用事があるからと逃げる

以前のやりとりから、二人の仲が険悪なのは分かっている。
香織ちゃんがいる前で喧嘩されたら、言い訳が大変だ。

「私たち、これから大切な用事があるんだよ。二人ともごめんね」

そして、香織ちゃんの手を掴む。

「さ、行こ」
「えっ……いいの? ちょっ、愛菜ってばっ」
「じゃあね。二人ともバイバイ」

私は手を引きながら、教室のドアを開ける。
残される二人の様子を目の端で確認すると、呆気にとられている様子だ。

「ま、待ってよ! 愛菜ちゃん」
「……………」

(心配してくれてるんだろうけど……たまには自由にさせて)

廊下を抜け、玄関で香織ちゃんをようやく解放した。

「ごめんね、香織ちゃん」
「私はいいけど。それより、愛菜。あの二人って、アンタを迎えに来たんじゃないの?」
「どうだろう。よくわからないよ」
「よくわからないって……」

靴に履き替え、校門を出たところで香織ちゃんは「……ところで」と言いながら私を覗き込んだ。
「な、何?」
「さっき、冬馬先輩って言ってた人。あの先輩って、3年2組の転校生よね」
「転校生……そうなの?」
「名前を呼び捨てられるほど親しい仲なのに、知らなかったの?」
「うん」
「有名人じゃない。三年の春で受験も控えてるってのに突然転校してきたのよ。編入試験もすごい点数だったみたい」
「そうなんだ」

(全然知らなかったよ)

「でもね、全然しゃべらないし行動も変だから、みんな不気味がってるんですって。
怪しい部外者と話してる所を見かけたって人もいるし……あんまりいい噂は聞かないかも」

そう言いながら、香織ちゃんは私を見た。
次の瞬間、困った顔をしながら、慌てるように顔の前で両手を振ってみせる。

「あーっ、ごめん。アンタにそんな顔させるつもりは無かったの。本当に愛菜の知り合いを悪く言うつもりはないから」

香織ちゃんは少しだけ早足で前に出ると、スカートを翻しながら振り返る。

「アンタの事は信じてるんだけどね。ほら、愛菜って少しぼんやりしているでしょ。
変な虫が付かないか心配してるだけよ」

そう付け加えて、また歩き出した。

私は……
@「変な虫?」
A考える
B「ありがとう、香織ちゃん」

288 :616の人:2007/11/19(月) 22:43:02 ID:???
615で香織が御門を「誰?」と尋ねてるね
見落としてた・・・ゴメン
話が矛盾するので、書いた616は無しにして下さい><

289 :616改:2007/11/20(火) 08:48:28 ID:???
>>287のをちょっと変更すればいける気がするので、287をベースに書き直してみる

B香織ちゃんと用事があるからと逃げる

以前のやりとりから、二人の仲が険悪なのは分かっている。
香織ちゃんがいる前で喧嘩されたら、言い訳が大変だ。

「私たち、これから大切な用事があるんだよ。二人ともごめんね」
そして、香織ちゃんの手を掴む。

「さ、行こ」
「えっ……いいの? ちょっ、愛菜ってばっ」
「じゃあね。二人ともバイバイ」
私は手を引きながら、教室のドアを開ける。
残される二人の様子を目の端で確認すると、呆気にとられている様子だ。

「ま、待ってよ! 愛菜ちゃん」
「……………」
(心配してくれてるんだろうけど……たまには自由にさせて)
廊下を抜け、玄関で香織ちゃんをようやく解放した。

「ごめんね、香織ちゃん」
「私はいいけど。それより、愛菜。あの二人って、アンタを迎えに来たんじゃないの?」
「どうだろう。よくわからないよ」
「よくわからないって……」
靴に履き替え、校門を出たところで香織ちゃんは「……ところで」と言いながら私を覗き込んだ。

「な、何?」
「さっき、アンタが冬馬先輩って言ってた人。誰よ!?」
「え、えっと、御門冬馬先輩っていって……3年2組で……」
そこまで言って口ごもる。なんと言えばいいだろう?
よくよく考えれば、私は冬馬先輩のことをほとんど知らない。
困っていると、香織ちゃんがふと何かを思い出すように頬に手を当てた。

「御門……?3年2組の御門……先輩?……って、あの転校生の?」
「転校生……そうなの?」
「そうだよ。お互い名前で呼び合う仲なのに、知らなかったの?」
「うん」
「三年の間じゃ有名人みたいよ。三年の春で受験も控えてるってのに突然転校してきたのよ。
 編入試験もすごい点数だったみたい……そっか、あの人があの御門先輩なんだ」
「そうなんだ」
(全然知らなかったよ)

「でもね、全然しゃべらないし行動も変だから、みんな不気味がってるんですって。
怪しい部外者と話してる所を見かけたって人もいるし……あんまりいい噂は聞かないかも」
そう言いながら、香織ちゃんは私を見た。
次の瞬間、困った顔をしながら、慌てるように顔の前で両手を振ってみせる。

「あーっ、ごめん。アンタにそんな顔させるつもりは無かったの。本当に愛菜の知り合いを悪く言うつもりはないから」
香織ちゃんは少しだけ早足で前に出ると、スカートを翻しながら振り返る。

「アンタの事は信じてるんだけどね。ほら、愛菜って少しぼんやりしているでしょ。
変な虫が付かないか心配してるだけよ」
そう付け加えて、また歩き出した。

私は……
@「変な虫?」
A考える
B「ありがとう、香織ちゃん」

290 :617:2007/11/20(火) 11:23:37 ID:???
B「ありがとう、香織ちゃん」

ちょっと言っていることに疑問を感じないではないが、心配してくれているのは分かるのでお礼をいう。
すると香織ちゃんは歩き出した足を止めて、再度私を振り向くと両手を広げて抱きついてきた。

「もぉぉぉ! なんて可愛いの愛菜!」
「ちょ、ちょっと!?」
下校時間、校門の側で抱きつかれ慌てる。
同じく下校途中の生徒達が何事かと私たちを見ていくのが、恥ずかしい。
けれど香織ちゃんは気にする様子も無く、とりあえず私を解放すると今度は腕を絡めてきた。

「そんな可愛い愛菜に、おねーさんがご馳走しちゃう! 
 実はね雑貨屋さんもだけど、その近くにおいしいケーキ屋がもあるのよ」
「え? でも悪いよ……」
「いいのいいの、私がご馳走したい気分なんだから遠慮しない!
 さあ、そうと決まったら行くわよ!」
私に腕を絡めたまま香織ちゃんが歩き出す。
引っ張られるように歩きながら、ふと思った。

(もしかしてこれって……ケーキ屋さんで洗いざらい話してもらうから、覚悟しとけってことじゃ?)
しっかりと絡められた腕が、逃げられないぞと言っているような気がする。
どうやって言い訳しようと考えつつ、バス停までやってくる。
丁度来たバスに乗り込んだ所で、やっと香織ちゃんは私から手を離した。

「そういえば愛菜ってば、結局だれが本命なの?」
「え?」
「今日は修二くんと、御門先輩が迎えに来てたじゃない? 
 でも愛菜は一郎くんのことが気になってたみたいだし? 
 そういえば隆との喧嘩も和解したみたいだよね」
きらきらと目を輝かせる香織ちゃんに私は苦笑する。
私もこういう話は嫌いじゃないけれど、自分以外が対象の場合に限る。
それに、今はいろいろあってそういう事に気が回らないというのが正直な所だ。

「今はそういうこと考えられないというか……」
「ふぅん?」
香織ちゃんは私を探るように見て、ちょっと寂しそうに笑った。

「愛菜、最近私に隠し事してるでしょ?」
「え……?」
「気付いてないと思ってた? 香織様を甘く見ないで欲しいわね」
どうやら、ケーキ屋さんへのお誘いはこっちがメインのようだ。

なんて答えよう
@「さすが香織ちゃんだね」
A「隠し事なんて……」
B「……」

291 :618:2007/11/20(火) 13:51:37 ID:???
@「さすが香織ちゃんだね」

ずっと親友でいてくれた香織ちゃんには、隠し事はできないみたいだ。

「この香織様が相談に乗るって言っているのよ?まかせなさい」
ドンと、胸を叩きながら言った。

「…………」
私は何をどこから話していいものか迷った。
今、巻き込まれていることを話したとしても、非現実的すぎて香織ちゃんは困ってしまうだろう。
香織ちゃんは大好きだ。信用できるし、口も堅い。

(だけど……)

バスを降りて、ケーキ屋に入る。
美味しそうなケーキが運ばれてきても、私は口をつけず、一言も話せないでいた。

「話せないかー。まぁ、無理に話すことは無いわよ。愛菜が言いたくなったら相談してくれればいいから、ね?」
「あの……あのね…香織ちゃん」
「ん? いいよ、何でも言ってごらん。少しはスッキリするかもしれないし」
「実は春樹の事なんだけど……」

血の繋がった父親の元へ行ってしまった事について、私は堰を切ったように話し出した。
春樹の個人的な事情を話すことにはなるけれど、私にとって、やはり一番ショックだったからだ。
力や組織の事は伏せ、事実だけを伝える。
私が話している間、香織ちゃんは真剣に聞いてくれた。

「………じゃあ、春樹くんは苦手な父親の所に、自ら進んで行ったのね」
「うん、私のためなの。でも、はっきりした理由は教えてくれなくて……。だから、余計辛いんだ」
「え? 愛菜のためって……まさか……」
香織ちゃんはコーヒーを持ったまま固まっている。
「どうしたの? 」
「……ああ、ごめん。でも、そうじゃないかなとは思ってたのよね……」
「何を納得してるの?」
「アンタが他の男に興味ない訳ね。一郎くんも好きとは違う感じだったし。さすがに、私にも相談しにくい事だものね」
「??」
「春樹くんが彼氏だったとは……」
「え!?」

どうして春樹が彼氏だったなんて話に発展するのかわからず、声を上げる。

「いい、愛菜。春樹くんの決意は相当なものよ! アンタと真剣に結婚しようとしてるんだから」
「け、結婚!?」
「よく聞いて。春樹くんは戸籍を父方に移すために出て行ったんだと思うわ。アンタ達が血が繋がっていない以上、
戸籍が違えば他人だもの。今は多分、戸籍が一緒だから結婚はできないけれど、移籍すれば結婚だって出来るのよ。
春樹くんはいつか愛菜と結婚したくて、苗字を変えるために出て行ったのよ! 世間がどう言おうと、私はずっと愛菜の味方だからね!」

香織ちゃんは、ひしと私の手を取ると大きく頷いた。

@「誤解だよ!!」
A「………」
B「く、詳しいね、香織ちゃん」

292 :619:2007/11/21(水) 14:22:21 ID:???
@「誤解だよ!!」

私は慌てて否定する。

「どうして?愛菜の為に出て行ったんでしょ?それしか考えられないじゃない?」
「だ、だって……私、春樹のこと弟とおもってるし、春樹からも告白された覚えは無いよ」
まさか高村研究所のことを言うわけにもいかず、何とか誤解を解こうとする。
けれど香織ちゃんはあきれたように私を見た。

「なるほど……あんた自分でも無自覚なわけね?」
「な、なにが……?」
「春樹くんを好きって事」
(違うんだけどなぁ)
これ以上言っても平行線になりそうで、小さくため息をつく。

「あ! なにそのため息? 違うって言いたいの?」
「え? う、うん、まぁ」
けれど、香織ちゃんにはすぐにばれてしまう。

「はぁ、春樹くんも可愛そうに……」
やれやれと、いわんばかりに大きくため息をついた香織ちゃんにちょっとだけムッとする。

「ちょっと、なんでそうなるのよ」
「だって、そうでしょ? 愛菜の為に苦手な父親の所に行ったのに、当の愛菜はこの調子だもんねぇ」
「だから、根本的に香織ちゃんまちがってるから……」
思わず頭を抱えて唸った瞬間、視界が翳った。
テーブルの横に誰かが立った為だと気付き、顔を上げる。
同じく香織ちゃんも、テーブルの横に立つ人物に顔を向けた。

そこには……
@春樹
A周防さん
B熊谷さん

293 :620:2007/11/21(水) 16:02:54 ID:???
B熊谷さん

突然現れた熊谷さんを、私は呆然と見つめ続ける。

「どうしたの? おーい、愛菜。生きてる?」
意識の向こうから、香織ちゃんの声がする。
そこで、ようやく我に返った。

「なななな、なんで! どうして熊谷さんが!」
椅子から転げ落ちそうになりながら、私は叫ぶ。
ケーキ屋の客と従業員が一斉に振り返り、こちらを見た。

「熊谷さん? 何を言ってるのよ。大丈夫?」
香織ちゃんは苦笑しながら、小声で話しかけてくる。

「ち、違うよ……。ほらそこに男の人が……」
「ん? 誰も居ないじゃない」
(あれ……本当に居ない)

熊谷さんは忽然と姿を消していた。

(気のせい……だったのかな)

「それよりも、愛菜。あんた、本当に自覚が無い訳?」
香織ちゃんは納得いかないのか、なかなか食い下がろうとはしない。
熊谷さんのことは不安になりつつも、香織ちゃんとの会話を続けた。

「香織ちゃん。いい加減、深読みしすぎだよ。春樹は弟でしょ? やっぱり、あり得ないよ」
「えーっ、本当に? じゃあ、愛菜のために春樹くんが出て行った理由は何よ?」
香織ちゃんは身を乗り出して、さらに問い詰めてくる。

「多分…春樹が出て行った理由は……香織ちゃんが言ってた事と逆だと思うんだ」

下を向き、春樹の言葉の一つ一つを思い出しながら答える。

「逆? どういうことよ」
「春樹にとって今の家族は特別なものなんだよ。前が幸せとは言えなかった分、とても大切に思ってくれているの。
家族の一員である私を守るために、本当の『大堂春樹』になるために出て行ったんだよ」

春樹は『高村』という父親の呪縛から決別して、本当の『大堂春樹』になるケジメをつけに行った。
だから、子供の頃に約束してくれた『守る』も『家族を守る』ということで、私だけに向けられているものじゃないはずだ。

「うーん。その説明じゃ、いまいち理由はわからないけど……。でも、春樹くんなら平気でしょ。
愛菜が心配するのはわかるけど、しっかりしてる子だしさ。あんたにそんな顔をさせたくて出て行くような子じゃないものね。
ほらっ、笑顔笑顔」

(香織ちゃん……)

励ましの言葉を聞き、私が顔を上げたその時、香織ちゃんが突然机に突っ伏した。
そして、むくりと顔を上げる。

「よう、小娘! 昨夜はどーも。さっきは俺のことが見えてみたいだな」

私は……
@「熊谷さん…ですか?」
A「香織ちゃん!?」
B「友達に何をしたんですか!」

294 :名無しって呼んでいいか?:2007/11/21(水) 16:25:06 ID:???
またやったorz
>同じく香織ちゃんも、テーブルの横に立つ人物に顔を向けた。
って書いてあるうううぅぅ

620改を書き直すので↑は無しにしてください

295 :620改:2007/11/21(水) 17:00:02 ID:???
B熊谷さん

突然現れた熊谷さんを、私は呆然と見つめ続けた。

「あの……私たちに何か用ですか?」
香織ちゃんが眉をひそめながら、熊谷さんに話しかける。

「何でもねぇよ。話の途中に邪魔したなぁ、嬢ちゃんたち」
熊谷さんはそれだけ言うと、またどこかへ行ってしまった。

「今の人、誰? 見るからに怪しいわよね」
香織ちゃんは腹立たしげに言った。

「私の知り合いの人だよ」
「本当? あんな柄の悪そうな人と付き合っちゃダメよ。愛菜はぼんやりしてるんだから」
(何しに来たんだろう……)

「それよりも、あんた。本当に春樹くんのこと、自覚が無いの?」
香織ちゃんは納得いかないのか、さっきの話を蒸し返してくる。
熊谷さんのことは不安になりつつも、私は香織ちゃんに再び向き直った。

「香織ちゃん。いい加減、深読みしすぎだって。春樹は弟でしょ? やっぱり、あり得ないよ」
「えーっ、本当に? じゃあ、愛菜のために春樹くんが出て行った理由は何よ?」
香織ちゃんは身を乗り出して、さらに問い詰めてくる。

「多分…春樹が出て行った理由は……香織ちゃんが言ってた事と逆だと思うんだ」

下を向き、春樹の言葉の一つ一つを思い出しながら答える。

「逆? どういうことよ」
「春樹にとって、私たち家族は特別なんだよ。前の家庭が幸せとは言えなかった分、とても大切に思ってくれているの。
家族の一員である私を守るために、本当の『大堂春樹』になるために出て行ったんだよ」

春樹は『高村』という父親の呪縛から決別して、本当の『大堂春樹』になるケジメをつけに行った。
だから、子供の頃に約束してくれた『守る』も『家族を守る』ということで、私だけに向けられているものじゃないはずだ。

「うーん。その説明じゃ、いまいち理由はわからないけど……。でも、春樹くんなら平気でしょ。
愛菜が心配するのはわかるけど、しっかりしてる子だしさ。あんたにそんな顔をさせたくて出て行くような子じゃないものね。
ほらっ、笑顔笑顔」

(香織ちゃん……)

励ましの言葉を聞き、私が顔を上げたその時、香織ちゃんが突然机に突っ伏した。
そして、むくりと顔を上げる。

「よう、小娘! さっきはどーも。もう、香織ちゃんとの楽しい話は終わったのかい?」

私は……
@「熊谷……さん?」
A「香織ちゃん!?」
B「友達に何をしたんですか!」

296 :621:2007/11/21(水) 22:39:42 ID:???
@「熊谷……さん?」

私は香織ちゃんに向って、半信半疑のまま話しかけた。
「よく判ったなぁ。でも、実際は俺じゃねぇんだ。操っているだけだからよ」

(操るって……まさか)

「ファントム……まさか、香織ちゃんにファントムを……」
「おっ、知ってるなら話は早いぜ」
香織ちゃんはフンと鼻を鳴らして私を見る。
「こんな汚ねぇ手は好きじゃないが、命令だからなぁ」

(で、でも……前に隆に聞いたときは、すぐに操れないって言ってたけど)
もしかしたら、嘘を言っているかもしれない。黒い靄は見ていないし、話を鵜呑みにするのは危険すぎる。

「黒い靄を見ていないけど、どういう事ですか?」。
「さっき近づいたときに、仕込んだんだよ。無防備すぎて、拍子抜けだったけどな」
「ファントムは、操るのに一週間はかかるはずですよ」
「はぁ? そんなことは知ったこっちゃねぇな。その術者はよっぽどの能無しなんだろうよ。
俺のは即効性抜群の、極上品だ。なんなら、すぐにでもこの嬢ちゃんを殺ってもいいぜ」
香織ちゃんは指を横一線に動かし、首を切る真似をした。

聞けばすぐに答えが返ってくる。嘘をついている感じでも無い。おそらく、本当のことを言っている。

(私には祓う力は無い。……だけど)

「香織ちゃんを……友達をどうするつもりですか」

震える手を机の下に入れる。
このままじゃ、本当に香織ちゃんが殺されてしまう。

「お前が俺達の言うとおりにしてりゃ、この嬢ちゃんからファントムを外してやってもいい。
だが、大切な人質だからなぁ。すぐに外すのは無理だろうな」
「もし、ファントムを憑け続けられたら、友達はどうなってしまうの」
「生気を抜かれて、あの世行きだろうよ。可哀想だか、それも運命だ」
「そんなっ……」
「恨んでもいいぜ? こんな外道な真似してんだからよ」
「早く友達を解放してっ」
「つべこべ言ってんじゃねぇよ。俺達のところに来るのか? 来ないのか?」
「わ、私は……」

会話で注意をこちらに引きつけるのも限界だ。
チャンスは一度きり。失敗は許されない。
見つからないように、感づかれないように近づいてもらわなければならない。

(お願い……)

「なっ! 何んだぁ!?」
香織ちゃんの体が徐々に青白く光り始める。

「もう少しだよ、頑張って!」
「うううぅぅぅうう…」
低い呻き声が、香織ちゃんの喉から漏れる。
何事かと、ケーキ屋の店内がざわついた。

「小娘ぇ!お前……何を…」

@「答えを知りたければ、足元を見てみて」
A「答えを知りたければ、窓を見てみて」
B「答えを知りたければ、後ろを見てみて」

297 :622:2007/11/22(木) 20:15:39 ID:???
@「答えを知りたければ、足元を見てみて」

香織ちゃんの体を乗っ取っている熊谷さんが、足元に視線を落とす。
その足にしがみ付いているのは、青白く小さな塊だった。

「なっ……どういう…ことだ…」
「チハル……お願い! 香織ちゃんを助けて!!」
口を開けたままの学生鞄を握り締め、私は叫んだ。

「ぐっ……うわわぁぁ…」
テディベアのチハルが、より強い光を放ち始める。
香織ちゃんの体がグラッと揺れると、冷たい床の上に崩れ落ちた。

「香織ちゃん!」
私は急いで駆け寄り、その肩を抱き締める。
「だ、大丈夫? 香織ちゃんっ」
「たいした…もん…だよ。…だ…が……甘い!!」

香織ちゃんの手が勢いよく伸びて、私を捉えた。
喉元に、香織ちゃんの指がめり込む。
「きぁあああっ!!」
首筋に耐え難い激痛が走った。
(体が……)

全身の皮膚が粟立ち、視界が定まらない。
刺さるような痛みが体中を駆け抜ける。

「……へへへっ……ざまみろ…」
「……わ…たし…に何を…」

その問いに一言も答えないまま、香織ちゃんは薄笑いを浮べた。

「お客様!……一体、どうされましたか」
「と、友達が……貧…血で……」

駆けつけた店員に、息も絶え絶えに伝える。
店内が騒然としているはずなのに、何も見えない。
大声で叫ばれていたはずなのに、そのうち何も聞こえなくなった。

(私…死ぬの?)

ふと、そんな思いが頭をよぎる。
私はそのまま、ゆっくりと目を閉じた――。


「……愛…」
「……愛…菜…」

私を呼ぶ声が聞こえる。瞼が重くて、ひたすら眠い。

(これは現実なの? それとも、夢?)

どちらか分からない。
だけど、この声に導かれて、私がここまで来れた事だけはわかった。

その声とは……
@香織ちゃん
Aチハル
B冬馬先輩

298 :623:2007/11/25(日) 11:31:05 ID:???
B冬馬先輩

「……愛菜……どうか目を覚ましてください」
(冬馬先輩の声だ。そうだ……香織ちゃんは…)
私は痛みをこらえながら、張り付いたように重い瞼を開く。

「愛菜ぁ!……心配したんだからね」
目を開くと冬馬先輩ではなく、香織ちゃんが抱きついてきた。
(いつも通りの香織ちゃんだ。よかった…)
「何、びっくりしてるの。ここはもうケーキ屋じゃないわよ。自分の部屋だったから驚いたんでしょ?」
その言葉に視線を移して、ようやく自室だということに気付く。

「なぜか先輩が颯爽と現れて、愛菜をここまで運んでくれたのよ。ね、御門先輩」
香織ちゃんが後ろを振り向くと、壁際で冬馬先輩がじっと私を見ていた。

「でもねぇ、愛菜。倒れた私に驚いて、あんた自身が気絶しちゃうだなんて冗談にもならないわよ?
どうして貧血で倒れた私が、アンタの看病をしなくちゃいけないのよぉ。逆でしょ、普通」
香織ちゃんは呆れたように、ため息をついた。

(それより、香織ちゃん。体は平気なの?)

「……にしても、御門先輩のお陰で助かっちゃった。目が覚めたら、店員の人が『救急車〜!』って叫んでるんだもの。
愛菜は私の横で倒れてるしで、大騒ぎでしょ? あそこで、先輩が愛菜を運んでくれなかったら、もっと騒ぎになってたのよ」

(チハルはどこ? 熊谷さんは?)

「愛菜もお礼を言っといたら? あの場を収めたのもぜんぶ御門先輩だったしね。ほんと、噂よりずっといい人だよ」
興奮ぎみに話しかけてくる香織ちゃんの後ろ側、冬馬先輩がゆっくり近づいてきた。

「長谷川さん、あなたはもう大丈夫です。ですが、愛菜はとても疲れています。申し訳ありませんが、お引取りください」
「えっ?」
「お引取りください」
「で、でも……」
「お引取りください」
「………だけど、愛菜がまだ…」
「お引取りください」

香織ちゃんが何を言おうとしても、冬馬先輩は同じ言葉を繰り返し続ける。

「……それじゃ御門先輩、愛菜をよろしくお願いします。もし気分が悪そうだったら、一応、病院に連れて行ってあげて下さいね」
結局、強引なやり方で、香織ちゃんの方が追い出されてしまった。
どう言っていいのか分からず、私はベッドから冬馬先輩の様子を伺う。

ベッドに寝たままの私を覗き込むと、冬馬先輩は私の前髪を梳いた。
「……愛菜」
真っ直ぐな眼差しと、吐息ともつかない呼びかけが、上から降り注ぐ。
制服のリボンに手を掛けられると同時に、一つ、二つとボタンが外される。
その指先は動きを止めることなく、なぞるように私の首筋を滑った。

(と、冬馬…先輩…)

「……守れなかった。あなたの大切な声を……」
冬馬先輩の綺麗な指が、もう一度、私の喉に優しく触る。
よく見ると、その指先は青白い光を放っている。
少しずつ体が軽くなり、突き刺すような痛みが和らいでいった。

@(私の……声?)
A(一体、どういうこと…)
B(やっぱり、熊谷さんのあれが)

299 :624:2007/11/26(月) 16:46:40 ID:???
@(私の……声?)

不思議に思い冬馬先輩を見上げ問いを口に出そうとしたが、私の口から言葉が出ることは無かった。

(え?)
慌てて必死に声を出そうとするが、息が漏れる音しかでない。

「愛菜……」
表情はいつもの無表情で、けれど声は悲しみと後悔をにじませて冬馬先輩が私の喉をなで続ける。
そのおかげか痛みはもうほとんど消えていた。
声だけが相変わらず出ない。

(まさか、あの時の……?)
意識を失う前のことを思い出す。
熊谷さんに喉をつかまれた瞬間のあの激痛。
あれが原因としか思えない。
声を出すことが出来ない私と、元々多く話さない冬馬先輩の間に沈黙が横たわる。
と、部屋の外で足音が聞こえた。私が足音を聞き取った直後、部屋をノックされる。

「おい、愛菜?」
隆だった。
返事をしたくても、声を出すことが出来ない。
けれど隆は気にした様子も無く、言葉を続ける。

「玄関に靴があったが、春樹が戻ってきたのか?愛菜?開けるぞ」
だが、いつまでたっても返事がない事に業を煮やしたのか、軽い断りと共に、部屋の戸が開く。

「……あんたは」
顔を覗かせた隆は、驚いたように冬馬先輩を見た。
それから、冬馬先輩の手が私の首筋を撫でているのに気付くと、一気に真っ赤になる。

「おい!愛菜になにしてる!」
今にも飛び掛りそうな勢いで部屋の中に入ってくる。

(隆!冬馬先輩は私を助けてくれたんだよ!)
慌てて起き上がり、隆に事情を説明しようとするが声は相変わらずでない。

どうしよう……
@身振りで伝える
A筆談する
B冬馬先輩に助けを求める

300 :625:2007/11/26(月) 22:32:27 ID:???
B冬馬先輩に助けを求める

口を開いて、「冬馬先輩」と呼びかけてみた。
すると、やはり喉からは細い息しか出てこなかった。

(そうだ。声が出ないんだった…)
ショックのあまり、手で口許を押さえている間にも、隆は冬馬先輩を睨みつけている。
だけど、冬馬先輩は隆のことなど意に介さず、私を見つめ続けていた。

「今はしゃべらない方がいいでしょう。僕は一度、美波と連絡をとってみます」

冬馬先輩はそれだけ言うと、ゆっくり立ち上がる。
その手には、私の学生鞄が握られていた。

「さきほど家に入る際、あなたの持ち物を勝手に使わせてもらいました。カギはここに置いておきます。
こちらはぬいぐるみです」

勉強机の上に、チハルが置かれる。
チハルはぴくりとも動かないまま、机に転がった。

(チハル……!ねぇ、二人とも喧嘩してる場合じゃないよ。チハルが動いてないじゃない)
私は身振りで伝えようとするけれど、二人はまったく気付いてくれない。

「おい。 あんた、聞いてるのかよ!」

冬馬先輩はその言葉を聞き、ようやく机から隆へ視線が移す。
「隆さん、僕は一度失礼させていただきます。愛菜をよろしくお願いします」

冬馬先輩はそれだけ言うと、ドアに向って歩き出した。
しかし当然のように、怒りを露わにした隆に阻まれる。

「ちょっと待てよ……」
「隆さん、冷静に聞いてください。愛菜は敵に襲われ、声が出なくなってしまいました。
身体にもダメージがありますが、精神的に相当なショックを受けているようです。
僕より、あなたの方が心の支えとなるには適役でしょう。頼みます」
「声……?おい、愛菜……声が出ないのか? あいつの言っていることは本当かよ」

隆は信じられないという顔で私に近づくと、心配そうに覗き込んできた。
私は乱れた襟を押さえながら、『うん』と頷く。
その後ろで、バタリとドアが閉まった。

私は……
@紙とペンを取る
Aチハルを取る
B携帯を取る

301 :626:2007/11/27(火) 17:24:44 ID:???
Aチハルを取る

私は動かないチハルを抱き上げて覗き込む。

(チハル、どうしたの?チハル)
軽くチハルをゆすってみるが何の反応も無い。

「ん、チハルどうかしたのか?貸してみろ?」
手を伸ばしてきた隆に、チハルを託して成り行きを見守る。
隆はじっとチハルを見て集中しているみたいだ。

「……なんか力を使い切ったって感じだな。今は回復の為に寝てる。しばらくは起きてこないだろう」
(じゃあ、チハルは寝てるだけなんだね?)
ちゃんと確認したいが、声が出ずもどかしい。
けれど、そこは付き合いの長い隆だった。

「心配しなくても回復したら起きてくるさ。
 愛菜の側に居たほうが回復が早いんじゃないのか?そんな事を前言ってただろ?」
私を安心させるように笑って、隆はチハルを私に返してきた。
私はチハルを受け取ってそっと抱きしめる。

(無理させちゃってごめんね)
「……ところで、声ってまったくでないのか?」
しばらくそんな私を黙ってみていた隆だったが、心配そうに尋ねてきた。
私はただうなずく。

「そうか、あいつ美波さんに連絡するって言ってたな。あの人ならきっと治してくれるさ。
 ……ところで腹へらね?今日は俺が作ってやるよ。出来たら呼ぶからそれまで休んでろ」
そう言って隆は部屋を出て行った。

私は……
@隆を手伝う
A部屋で休む
B香織ちゃんにメールする

302 :627:2007/11/27(火) 21:42:10 ID:???
B香織ちゃんにメールする

(腹減ったって……相変わらず食いしん坊だな。まぁ、隆らしいけど)
出て行ったドアを見つめて、私は思った。

(あっ、そうだ。香織ちゃんに連絡しておこう)

心配させたまま帰してしまったから、私からメールを送ることにした。
冬馬先輩の追い出し方は強引だったし、体調が良くなった事も伝えておきたかった。

『香織ちゃん、身体は平気だった? 私はもう大丈夫だよ。
さっきは、追い出すような帰し方をさせちゃってごめんね。
冬馬先輩の言い方はきつかっただろうけど、悪気は無いんだ。
今度、また雑貨屋さんに連れてってね』

送信、そしてすぐに返信が入る。

『よかったよー。先輩の言い方に気押されて思わず帰っちゃったから、心配だったんだ。
愛菜と先輩を二人きりにさせてよかったのかなーってね。今度、ゆっくり本命について
追求させてもらうから、覚悟しておいてよ。また明日、おやすみー』

私はメールを閉じる。
絵文字や顔文字が多いところが、相変わらず香織ちゃんっぽい。

(さて、身体も大丈夫そうだし……隆を手伝いに行こうかな)

私は、チハルと大学ノート、ペンを持ってキッチンに下りる。
キッチンでは、隆が一生懸命に料理を作っていた。

「おっ、愛菜か。休んでろって言ったのに、どうして大人しく寝てないんだよ」
隆は私にお玉を向けながら、怒ってきた。

『もう平気。なにか、手伝うよ』
ノートに書いて、隆に見せる。
そして、隆が作っているフライパンの中身を覗き込んだ。

(チャーハンね。あれ……他に作っている様子が無いけど…)

『チャーハンだけ?』
隆は私に指摘されると、不機嫌な顔になった。
「そーだよ。文句があるなら食わなくてもいいからな」

@『もしかして、チャーハンしか作れないとか?』
A『美味しそうだね』
B『何、怒ってんの?』

303 :628:2007/11/28(水) 17:07:02 ID:???
B『何、怒ってんの?』

首を傾げつつノートに書く。
それを見た隆は私から視線をフライパンに戻すと、ぶっきらぼうに「なんでもない」と言ってチャーハン作りに戻る。

(なんなのよ?)
釈然としないものを感じながらも、チャーハンだけでは物足りないのでスープでも作ろうと鍋を取り出す。
それを見た隆が再度私に顔を向けた。

「……なんか作るのか?」
『スープでもつくろうとおもって』
「インスタントでいいだろ。今自分の状態が普通じゃないってわかってるんだろ?少しはおとなしくしてろよ」
隆はそういいながら私が持っている鍋を取り上げる。
字を書くのも面倒で、私は抗議の意味を込めて取り上げられた鍋に手を伸ばした。
けれど隆はすばやく空いている場所に鍋をおくと、軽く私の背を押す。

「向こう行ってろよ。急に具合が悪くなったりしたらどうするんだ?」
『大丈夫だって』
「いいから! 何かあってからじゃ遅いんだ」
強く言われて、私はしぶしぶ頷くとリビングへと向かった。

(隆が心配しているのは分かるけれど、自分の身体だ。大丈夫かどうかは自分が一番分かるのに……)
内心で文句を言いながら、特に何もすることが無いのでソファにすわりテレビにスイッチを入れる。
新聞を見る気にもなれず順番にチャンネルを変えていくと、ふと一つの番組で手が止まった。

その番組は……
@ニュース系
A生放送系
B史伝系

304 :629:2007/11/28(水) 22:39:40 ID:???
B史伝系

普段ならすぐにチャンネルを変えてしまうような教育番組だった。
けれど、「鏡」という言葉を聞き、少し興味が湧く。

「……三種の神器とは、鏡、剣、勾玉で歴代天皇に伝えらている宝物です。
これらの宝物は皇位継承の証となります。
現在、鏡と剣はそれぞれ別々の神社でご神体として安置されていますが、
勾玉は宮中御所に安置されています。
さて、三種の神器の由来は神代まで遡り……」

アナウンサーの言葉とともに、緑の濃い、大きな神社が映し出されている。

(鏡って……たしか…)
以前、一郎くんが「割れた鏡」と言ってのを思い出す。
もしかして、このテレビの話と関係があるのだろうか。

テレビの方は、すでに三種の神器の由来について話題が移っていた。

「天照大神の岩戸隠れの際、用いられたとされるのは鏡と勾玉です。
この二種は、神々の手により作られたと伝えられています。
一方、剣は天照大神の弟である須佐之男命がヤマタノオロチを打ち倒した時、
その尾から剣が現れたとされています」

(うーん。観ててもよくわからないな)

「おーい、愛菜。夕食ができたぞー」
隆の呼び声でキッチンまで行くと、二組の山盛りチャーハンとインスタントで作った卵スープが用意されていた。

「ほら、座れよ。腹減ったな、早く食おうぜ」
私は隆の向かいの席につくと、チハルを隣の席に置いて、手を合わせた。
けれど隆を見てみると、すでにチャーハンを勢いよく口の中に入れている。
そんなに急がなくてもいいのにと思いながら、私はいつものペースで食べ始めた。

「なんだか懐かしいよなぁ」
あらかた食べ終えた隆が、私の様子を見ながら呟いた。
『何が懐かしいの?』
「愛菜がさ、そのチハルを連れて晩飯食ってるのを…久しぶりに見たからな」
『この間だって、チハルと一緒に食べてたでしょ?』
私がノートを見せると、隆は「違う違う」と首を振った。

「ほら、小さかった時のお前だよ。まだチハルを「くまちゃん」って言って肌身離さず持っていただろ?
ぬいぐるみなのに無理やり食わせようとしてさ、汚したこともあったよな」

お母さんが居なくなってしばらくの間、私はチハルを何があっても離さない時期があった。
小学校にまで連れて行くと我侭を言う私に、父だけじゃなく、隆やそのご両親にまで随分迷惑をかけてしまったな、と思い返す。

@『よく憶えてるね、隆』
A『そんな事、憶えてなくてもいいよ』
B『ところで、隆。三種の神器って知ってる?』

305 :630:2007/11/29(木) 15:49:16 ID:???
B『ところで、隆。三種の神器って知ってる?』

昔のことを蒸し返されてなんとなく恥ずかしくなり、先ほどテレビで見た話を振ってみる。

「三種の神器?あー、そういや学校で習ったな。たしか、テレビ、洗濯機……掃除機?いや冷蔵庫か」
隆の言葉で、そういえば以前に学校で習ったことを思い出す。
たしかにそれも三種の神器と呼ばれてたけれど……。

『そっちじゃなくて、鏡と険と勾玉のほうだよ』
ノートを見た隆が頷いた。

「あー、そっちか。知ってるというか、まあ詳しくは知らないけど名前くらいはな。剣て草薙剣のことだろ?八岐大蛇を退治したら尾からでてきたっていう」
私は頷いて、ノートにペンを走らせる。

『じゃあ鏡のことは知ってる?』
「うーん鏡と勾玉のことはわからないな」
(そっか、知らないんだ……)
隆が知らないとすると、誰に聞けばいいだろう?
一郎くんは詳しそうだけど教えてくれるか分からない。
修二くんも案外詳しいかもしれないけれど、なんとなく交換条件にされそうな気がする。

(春樹ならすぐに教えてくれると思うんだけどなぁ)
「急にそんな事聞き出してどうしたんだ?」
考え込んでいると、不意に隆が尋ねてきた。
確かに唐突な話題だったかもしれない。けれど、なんとなく気になっただけなので理由があったわけではない。

『さっきテレビでやってたの。ただそれだけなんだけどね』
「ふーん?」
納得したのかしないのか、隆はあいまいに相槌を打って再度チャーハンを食べ始める。
それからふと、思い出したかのように顔を上げる。

「近藤先生に聞いたらどうだ?」
隆の口から思いがけない名前が出て首を傾げる。

「なに変な顔してるんだよ。近藤先生は歴史の先生だろ?図書委員の顧問もしてるし、結構詳しいんじゃないか?」
言われて思い出す。
直接授業を受けたことが無いからピンとこなかったが、確かに近藤先生は歴史を教えている。

うーん……
@『そこまでして知りたいわけじゃないから』
A『そうだね、聞いてみるよ』
B『近藤先生と話すのって緊張しない?』

306 :631:2007/11/29(木) 18:07:51 ID:???
B『近藤先生と話すのって緊張しない?』

差し出したノートを見て、隆が首を傾げる。
「何、びびってんだよ。そりゃ確かに少し恐いけど、聞けないほどじゃないだろ?」

(まぁ、そうだけど……)

近藤先生は厳しいけれど、いい先生だというのは知ってる。
昨日は茶道室まで連れてってくれたし、親切にしてもらった。
でも、なんというか威厳のある風貌に圧倒されてしまい、少し苦手なのだ。

『そうだね。明日、聞いてみようかな』
「もし不安なら、俺もついてってやるよ」
『うん、助かるよ』
「それと、チハルが起きたら一度聞いてみたほうがいいかもな。
鏡について何か思い出せそうだったし、手がかりになるかもしれないぜ」
私は、横に座らせたチハルを撫でながら頷いた。

夕食が終わり、私が片付けをしようと食器を持って立ち上がる。
すると、また隆がやってきて横から食器を取り上げられてしまった。

「まだ顔色が悪いし、無理すんなって言ってるだろ……ったく」
そう言われて、またしてもキッチンから追い出されてしまった。
仕方がないので、お風呂の用意をしに行く。
お風呂の用意が終わって、リビングに戻ってくると隆が自分の持ってきたスポーツバッグを漁っていた。

『どうしたの?』
「あー……んー」
隆にしては珍しく口ごもる。

『お腹でも痛くなった?』
「なんでそうなるんだよ!?」
『胃腸薬でも探してるのかと思って。救急箱、出す?』
「……違うって。なぁ、おばさんって今日、いつ帰ってくるんだ?」
隆の問いに私はペンを走らせた。
『かなり遅くなると思うよ。先に寝ていてくださいって手紙に書いてあったから』
「そうか……」
『ホント、どうしたの?』
「なんだかなー。ほら、今までは春樹が居たからよかったけど、よく考えてみたら二人きりじゃないか、俺達。
やっぱり俺の家に戻ろうかと思ったんだよ」
漁る手を止めることなく、隆は呟く。

(さっきから、妙に優しくしてくれてると思ったら……そんなこと気にしてたのね)

@笑い飛ばす
A『意識しすぎだよ』
B『私一人じゃ、不安だよ』

307 :632:2007/12/01(土) 02:26:33 ID:???
B『私一人じゃ、不安だよ』

熊谷さんにやられた身体の痛みを思い出し、思わず身がすくんでしまう。
あれは、生まれて初めて体感する恐怖だった。

「そうか。今日、お前は組織から襲われたんだったな。確かに不安か……。そりゃ、そばに居てやらなくちゃな」

私は『うん』と頷いて、隆を見る。
隆はスポーツバッグを閉めると、私に向き直りながら口を開いた。

「そういや、襲われた時はどんな状況だったんだ? 思い出すのが恐かったらいいけど、よかったら教えてくれよ」

私は言われた通り、ケーキ屋の出来事を簡単にノートに書いていく。
言葉で説明するより簡潔に書いたつもりだったけれど、2ページに及んでしまった。

「ふーん。熊谷って男のミストは、すぐ人に取り憑く事が出来るのか。それはちょっと面倒だな。
憑く前だと簡単に消せるけど、憑いてしまうと、かなりの力を使わないと消滅できないからな」

説明こそしなかったけれど、隆のことを能無しの術者と言った熊谷さんは、きっと組織の中でも相当の実力者なのだろう。
もし、チハルが居なかったら香織ちゃんも私もどうなっていたか分からない。

「しかし、そんな状況でよく長谷川も無事だったよな。後ここだ、チハルにお願いしたって書いてるけど、そんな暇なかっただろう。
どうやったんだ?」
隆は書いてある文字を指差し、不思議そうに尋ねてくる。

『チハルって人の感情や思っている事が少し分かるみたいでしょ? だから、
心の中で「ぬいぐるみのまま、黒いザラッとしてるのをやっつけて」って、お願いしながらチハルの入ってた鞄を開けたんだよ。
机の下なら、小さなぬいぐるみが動いても、気付かれずに済むかなーと思って』

「しっかし、お前って意外と神経図太いんだな。俺はてっきり、何も出来ずにオロオロするもんだと思ってたぜ」
『それって、褒めてるの? けなしてるの?』

簡単なイラストで、怒った顔を描いてみせる。それを見た隆が笑って答えた。

「褒めてんだよ。いや、見直したってところかな」
『とにかく、香織ちゃんを助けなきゃと思って必死だったんだよ。もう手は震えるし、すごく恐かったんだから』

「だけどなぁ、まだ長谷川からミストを完全に外してないのに…倒れたからって無防備に近づくのはただのアホだぞ」

(たしかに、反論できない……)
そんな風に考えていると、持っていたペンを突然、隆に取り上げられてしまった。
そして、汚い字で『お前らしいけど』と書いて、すぐにその字を塗りつぶしてしまった。

@『どうして塗りつぶすの?』
A『ありがと、隆』
B『ところで…声のこと、学校でどう誤魔化せばいいと思う?』

308 :633:2007/12/01(土) 22:19:30 ID:???
@『どうして塗りつぶすの?』

隆が塗りつぶした字を透かして見るけど、もう何が書いてあるか読めなくなっている。
そんな私の様子を見ていた隆が、ペンを突き出してきた。

「お前が図に乗るといけないからな」
『乗らないよ』
私は受け取ったペンを走らせて訴える。
「分かってんのか? どう考えても、今回は運が良かっただけだぞ」

(確かに……)

「とにかく、今回みたいな行動をしていたら、次は声だけじゃ済まない。
組織も本腰を入れてきたみたいだし、今までみたいな訳にはいかなくなってきたって事だ」

(今までみたいにはいかない、か)

ふと、放送室で会話を盗み聞きした、一郎君と水野先生の会話を思い出す。
あの時、今までは一郎君と修二君が組織を牽制していたように聞こえた。
それが反故になった以上、何を仕掛けられてもおかしくない事態なのだろう。

『一郎君と修二君って何者なんだろう…』
「俺が知るかよ。お前の方が詳しいんじゃないのか」
『うん。まぁ』
「宗像兄弟が何かを隠しているのは間違いないけどな」
『だけど、二人はきっと教えてくれないだろうし……。もう少し、情報があればいいんだけどなぁ』
「あの美波って人なら教えてくれそうじゃないか?」
『多分、美波さん……あと周防さんも、二人とも知らないと思う。修二君とは初対面っぽかったんだ』
「それなら、冬馬先輩ってヤツはどうだ?」
『顔見知り程度らしいよ。詳しくは知らないんじゃないかな』
「水野じゃ、敵の懐に入っていくようなもんだしな……」

私たちが考えているだけでは、真相はわかりそうにない。
腕を組んだり、頭を抱えてみても、やっぱり良い考えは出てこなかった。

「なぁ」
隆が突然、私に話しかけてきた。
『何?』
「俺の中のヤツなら知ってるかもしれないな」
『武君のこと?』
「今も俺の中に居るらしいけどな。その武ってヤツ、手紙で色々知ってそうな書き方だったからさ」
『でも……自由に出てこれないって言ってたよ』
「試したことはあるのか? もしかしたら、お前が頼めば出てくるかもしれないぜ」
隆は冗談とも、本気ともつかない言い方をした。

「さて、風呂に入ってくるか」
隆が歩き出す後姿を見ながら、私は考える。

考えた事とは……
@武君に会えるのかどうか
A一郎君と修二君の事
B今日の出来事

309 :634:2007/12/05(水) 23:36:24 ID:???
@武君に会えるのかどうか

以前は隆の意識がなくなったから出てくることができたといっていた。
もしかしたら隆が寝ているときならば武君と話ができるのかもしれない。

(確か武君が出ているときは……隆の負担になるんだよね?)
隆と武君のことは他には事例がないことのようだし、どの程度の負担がかかるのかすら分からない。
以前は隆が力を使い果たしていて、武君も隆に負担がかかるから長い時間は出ていられないといっていた。
けれど今の状態の隆なら、もしかしたらあまり負担にならないのかもしれない。

(でも、隆に何かあったら……)
武君を呼び出すことで、隆が倒れるようなことになったら大変だ。

「ん?愛菜どうした?」
結構長い時間考え込んでいたようだ。
隆がタオルで頭を拭きながらリビングに入ってくる。

「風呂空いたけど、体調悪いなら無理しないで寝ろよ?」
「あ、うん……」
「どうしたんだよ?」

えっと……
@「武君と話をしてみようとおもって」
A「なんでもない、お風呂入ってくるね」
B「なんでもない、今日はもう寝るね」

310 :635:2007/12/07(金) 00:40:01 ID:???
@「武君と話をしてみようとおもって」

私はさっきまで考えていた事を隆に伝えた。

「いいんじゃないのか? 俺も会ってみたいけど、無理だしなぁ」
隆は意外なほど軽い口調で呟くと、ソファーに座った。
『でも、隆の身体に負担があったら大変でしょ?』
「大丈夫だと思うぞ。最近、力を使っても疲れないしな」
『そうなの?』
「どうしてだか分からないけどさ。八百万の神に働きかける能力の成功率も上がっているみたいなんだ。
以前、この家に願っただろ? あれだって、昔の俺じゃとても成功しなかったと思うぜ」
(隆の力は強くなっているんだ…。でも、なぜ?)

考え込みながら、ふと隆を見ると、大きなあくびをしていた。
そして、もう一度出たあくびをかみ殺すと、私に向かって話しかけてきた。

「俺の中のヤツに会うのって、今日するのか」
『うん。そのつもりだけど』
「もし会えたら、一つ言っといて欲しい事があるんだ」
『何?』
「その……一応、礼を言っといてくれよ。俺から頼んだ訳じゃないが、その武ってヤツの身体で助かったみたいだしな」
『ありがとうって言っておけばいいよね』
「ああ……まぁ、そんな感じでいいから」

隆はぶっきらぼうに言うと、逃げるように立ち上がった。

『もう、寝るの?』
私は出て行こうとする隆にノートを掲げて見せた。
「そうだよ。じゃあな」
そして、落ち着き無く客間へと消えてしまった。

(やっぱり、隆って照れ屋だよなぁ。素直じゃないとも言うけど……)

もしかしたら手紙で知った時から、武くんにお礼が言いたかったのかもしれない。
昔から、改まって言う時の「ありがとう」や「ごめんなさい」はこんな態度だった。

(にしても、逃げるように出て行くほどの事でもないと思うけど)

そんな事を考えつつ、いつもより長めのお風呂を終える。
髪を乾かしてから、私はリビングに戻った。

@さっそく客間に行ってみる
Aもう少し後にする
Bやっぱり止める

311 :636:2007/12/12(水) 18:20:36 ID:???
Aもう少し後にする

なんとなくすぐに行くのも躊躇われて、私はソファに座りテレビをつけた。
丁度明日の天気予報が流れてくる。

(明日は雨が振る確立50%か。そういえば雨って久しぶり?)
ここしばらく曇ることはあっても雨が降った記憶が無い。

(でも、文化祭の準備してるから降らないで欲しいなあ)
大きなものを作るときは一時的にグラウンドを使ったりするし、足りないものを買出しに行くときも雨が降っていたら大変だ。
そんな事を思いながら、テレビを見ているとリビングの戸が開く音がした。
振り向くと、隆が立っている?

(あれ?もう寝たんじゃなかったの?)
不思議に思いながら、紙とペンを取る。

『どうしたの?』
「あなたが僕に会いたいと言っていたので、隆が寝たところで身体を借りました」
『え?じゃあ、武くん?』
「はい」
頷く武くんに私は思う。

(隆の行動って、武君に筒抜けなんじゃないの……。てことは隆が言ってたお礼も知ってるってことよね?)
でも、一応頼まれたことだし、隆がお礼を言っていたことを書いてみせる。
武くんはそれを見て小さく微笑むと、私の向かいのソファーに座った。

「隆が僕の存在を知ってから、感謝されているのは知っていました。
 僕は彼でもあるんですから、感謝されるというのは少し変な感じもしますね」
『そう?でも、隆と武くんは別の人格だし変じゃないと思うな』
「そうですか?でも、僕こそ隆に感謝してるんですよ。
 隆が事故にあってくれたから、僕はあの研究所から出ることが出来た……。
 それで僕に聞きたいことがあるんですよね?」
(あ、そうだった)

えーっと……
@一郎くんと修二くんについて
A鏡のことについて
B熊谷さんのことについて

312 :名無しって呼んでいいか?:2007/12/12(水) 21:14:09 ID:???
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選択肢を選んで1000レス目でED 3
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313 :名無しって呼んでいいか?:2007/12/13(木) 12:14:27 ID:???
新スレ乙!
wikiに追加しました。

以前はなしていた通り、新スレになったので人気投票2回目のページもつくりました。
前と違ってコメント入れられないけれど、別枠でもいいからコメント入れたいって人はいる?
欲しい人が居るなら、同じページにコメント入れられるようにしてみる。

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